『生きている麹菌』(これは小説です)

『生きている麹菌』  警察は任意の事情聴取と称して、マネージャー氏の身柄を拘束、証拠隠滅を避けるためマネージャー氏は留置所入りとなった。留置所とはたちの悪い宿泊所のことである。  おまわりさんは言った。 「この端麗純米大吟醸酒を客にふるまったのはあなただけだ。犯人はまさにあなたで決まりである。毒をもったのはどういうわけか白状してはどうか。いつどんな毒を混ぜたんだ」  マネージャー氏は言った。 「わたしはなにもしていません」  おまわりさんは威圧的だった。 「状況を見たらどうだ。あなたと客がいて、日本酒を飲まなかったあなた以外みんな死んでしまったのだぞ」  マネージャー氏は懇願するように言った。 「おまわりさん、わたしは酒をふるまっただけですよ。残った日本酒は調べたんですか、毒があるかどうか」 「調べた。毒はない。さあ白状したまえ。いま白状すれば執行猶予もあるかもしれぬ。しかしそうでなければ永遠に刑務所暮らしだぞ!」 「黙秘権を使います」 「ほおぉ」  人を人とも思わない取調べが強行された。なにを言っても無駄である。マネージャー氏は心根いかれてしまった。  実は警察は現場で採取されていたわずかな日本酒の科学的鑑定を依頼していた。重大案件である。残ったわずかの日本酒を科学捜査研究所、いわゆる科捜研に送っていたのだ。  そして事件発生後一週間、サンプルのDNA鑑定をした科捜研の研究員は告げた。 「原因は野生の麹です」  おまわりさんはいぶかしげに、そしていさ…

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『今日授業の合間に話したたとえ話』(170315)

 物理や化学の法則などは、氷山の一角である。という話をした。たとえ話である。人間の科学は自然界の真理からしたらほんのかすかなひとかけらである。そういうことを知ってもらいよりよく自然を理解してもらうためのたとえ話である。  物理や化学の法則などは、氷山の一角である。だから新たな発見があれば、またそれ以前よりも多くの疑問が出てくるということなのである。  物理や化学の法則などは、氷山の一角であるということを知らないと、タイタニック号が氷山にぶつかって沈んでしまったように、人間は自然界から多くのしっぺ返しを受ける可能性があるよという話なのだ。

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『きょう授業の合間に話したこと』(170309)

 物理や化学などサイエンスの世界が見つけた法則とかにわたしたちは縛られている。ともすればそれがまったく正しいと信じている。しかしそれは同時に大いなる間違いでもある。わたしたちの知っている世界はごく限られたものである。わたしはたとえ話で、黒板に氷山の絵を書いて説明した。わたしたちの知っている法則などは、海の上に現れたごく小さな部分に過ぎない。氷山の多くの部分は目に見えない海の下に隠れている。だからそれを忘れてすべて知った気になっている人間はおろかである。  よく言うではないか、 「ひとつ新たな発見があれば、よりたくさんの分からないことが出てくる」と。  むかしタイタニック号が氷山にぶつかって沈んだのは、油断とおごりがあったからなのだ。

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『HDDには二種類の規格がある』170103

 WIN7のHDDが壊れそうになった。中古のHDDを買って交換しようとして初めて気づいた。HDDにはケーブルの規格があって、IDEとSATAと二つあった。今はその両方があって、過渡期である。  IDEのATAとも言い、U ATAとも表記されたものもある。  SATAもS ATA、またシリアルATAと表記してあるものもあった。  わかりづらかった。交換のためケーブルを買うとき、何用を買ってよいか。無知であったので、SATA用を買うべきところIDE用を買ってしまった。  単位の混在が学習者にわかりづらいという印象を与えるのと同様、こういうものはできるかぎりわかりやすい表記にすべきである。しかしながらそうはならないところが人間社会である。

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